周ちゃん語に耳を澄ます/服部 剛
 
僕の話の途中に
妻がスマホを手に取り
友達にメールを打ち始めたので
エラそうに腕を組み言ってみる
「人の話を聞くときはだな…」

すると
倍々返しの風圧で
怪獣と化した妻の口から
炎の言葉が放たれる
「あなただって〇〇△×〇〇×△××〇△
 〇〇△×〇〇×△じゃない××〇△〇〇
 △×〇〇×△××〇△〇〇△で、△×〇
 〇×△だから、×〇△〇〇△×〇〇×△
 ××〇△〇〇△なんでしょ!〇△×……」

やがて
虫ケラと化した僕は
ダウン症児の周ちゃんの
食事介助をつつましく始め
厨房に立つ妻の機嫌を伺いながら
穏やかな会話をこころみる

人間の会話を取り
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