三日月のベッド/st
 

しょんぼりして
口もきかなかった月が
ようやく

雲さん 寝心地はどうだい

と雲に話しかけると
雲はもうスヤスヤと夢のなか

いつまでもつづく
月と夜と雲
そして風と星たちの会話を

いつものように
公園のベンチで 
眺めていた少年が

なんだか
僕も眠たくなったよ

とみんなに微笑むと
月が少年に

もう遅いから
はやくお帰り

と家路をうっすらと照らす

月と夜と雲
そして風と星たちに見守られ

少年はゆっくりと
夜空を見あげながら
歩きはじめる

誰もいなくなってしまった公園は
しんしんとして

木枯らしの音だけが

通りすぎてゆく



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