あなたという呪縛/AquArium
こうして想いを言葉にするのは
何らかの心境の変化があったからだと推察します
3度目の秋を超えた今
記憶が少しずつ錆びていくことを
寂しく思うか安堵しているのか
残された生活のにおいを
今なら風と共に消し去ってしまってもいいとさえ
思う自分に気づきました
あなたという呪縛から解放される許可を
神様が与えてくださったのかもしれません
書きつづった手紙の束に
祈り続けた朝夕の日々を
手放すのが惜しいのです
それは確かに愛だったと
認めてほしい歯がゆさの
抵抗も葛藤も放棄します
時間の経過だけではない
何かを失ったあなたの色
鮮明さを欠いたまなざし
こうして想いを言葉にするのは
何らかの心境の変化があったからに他なりません
人間の記憶は都合よく塗り替えられ
綺麗なままにしておくために
これ以上の日々に蓋をする
誰かと幸せになることに
賛成したわけでもなければ反対もしない
至って冷静な選択に少し寂しく思います
あなたという呪縛から解放される許可を
神様が与えてくださったと今信じたいのです
戻る 編 削 Point(0)