喫茶店にて/
木葉 揺
木目に触れてつま弾いてみる
腕にしみる音だった
慌てて左手で右腕を抱く
静かに響きが止んでゆく
無粋ないたずらはするまい
たとえ喫茶店の壁が木目であっても
誰かがベースを弾くように
背骨から後頭部ふるわす音を
自ら放ちたい
そう思ってコーヒーの色を信じた
湯気のことも信じた
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