生きていればこそ/メープルコート
のうち昼だからとご飯が出た。
記憶は薄いが食べれたようだ。
そのうち知らない三人が私に会いに来た。
こんな所は早く出たいとあらゆる質問にもつれたままの言葉で話した。
しばらくして退院の許可が下りたらしい。
妻と両親が忙しそうに動いていた。
私は迷惑をかけているのだとその時悟った。
そういえば私は衝動的に死のうと思っていたのだ。
公園で倒れていたのを救急搬送されてこの病院に運ばれたらしい。
半分冷たくなっていたそうだ。
人生で初めて入院をした。
皆に迷惑をかけて。
もう二度とすまいと誓った。
私は再度生を与えられた。
生きたいと思った。
生きていればこその朝日を浴びることができた。
人生は何事もなかったかのように続いてゆくのだ。
好きな音楽を聴いて、おいしいご飯を食べて、ゆっくり眠る。
生きていればこそ。
いつか心にも晴れ間が出るだろう。
生きていればこそ。
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