月と夜 (改訂)/st
ぼくが一番きれいにみえる
秋がきたよ
と月が夜に胸をはる
中秋の名月というけど
ぼくには迷惑だ
と夜が月に
言いがかりをつける
まあまあ
と雲が仲裁にはいってきて
夜さん
なんで迷惑なの
と夜に問う
だって月が目立ちすぎて
ぼくがかすんでしまうじゃないか
と雲に答える
そうだねたしかに
夜は真っ暗でこそ
ぼくたちも美しい
と星たちまで割り込んでくる
それじゃあぼくが
雲を吹きつけて
月を隠してしまおう
と風も割り込む
わかったわかった
と月がみんなに
それじゃあ
ときどき風さん
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