予感 その2/たちばなまこと
 
<早朝のめまい>
無数の針が 雪の地平線に整列してゆく
朝日に小刻みに照らされて
瀬戸際の美しさを
告げている
銀色の予感はめまいの中で
怖れながら起立する
人肌の息を含んで 撚りをかけた
ゆるい双糸を 異国情緒でまとうと
小さな人になったからだが 曖昧な浮力に
囲われる
三つ子のかぞえうたを 遠くに聞いて
流れるまでに満たない半端な涙を 中指に乗せて
表面張力のいじらしさに 重力を再び感じたら
もう
崩れそうになる


<臆病な潜在>
意識を取り戻しても ここは
ガラス・フィルム・フラワーの繁殖地
花びらは 幾重にも溜息をつくけれど
爪で弾いたらすぐに
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