素心/
R
殺意とは海底からくつくつと湧くあぶく
潮のうねりに揉まれ
白波に紛れるように
混ざり合う
記録されない日常
を構成する
切り捨てられる方を担う私
の心を満たす
ほんの少しとろみのある液体
に
溶けにくい気体
盲の魚を愛撫する無色の欲求
集めて
真っ白な紙風船を膨らませる
板挟みの私が
延々
と
膨らませて
膨らませて
、他人につくられた私が握り潰す
静かに
確実に
――人のようであらねばと誰かがいった。
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