妖怪の幼虫/藤山 誠
子供の頃のある秋の日
滑り台の下を掘ると
もぞもぞと何か動いた
見つけたのは 妖怪の幼虫
普通の芋虫に似ていて
体は白くて顔は黒い
目が一つしかなくて
その周りに 赤い隈取り
俺は家へ持って帰って
水槽の中に土を敷いて
木の枝をいくつか入れて
毎日餌をやった 飴玉ふたつ
ヨウスケはいつも
のろのろ動いた
ヨウスケはいつも
もたもた喋った
次の年の春の終わりごろ
俺が学校から家に帰ると
ヨウスケはいなくなっていた
きっとなったのだろう 立派な妖怪に
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