或る詩人への追悼詩/服部 剛
あの日のあなたが立っていた
この舞台に僕は今、立っている
あなたの闇に
何もできなかった僕が
今宵、一つの約束をするために
もうこれっきりだと僕は言わない
体を脱いで空に溶けたあなたの旅は続き
その面影を忘れずに
僕等の日々も続くのだから
一昨日(おととい) あなたを、友と偲んだ
昨日 ふいに頬を伝った涙が
今夜の朗読会に僕を連れてきた
ここには 汚れも聖なるものも合わせ飲む
たましいの光る人々がいる
ここには 一人ひとりの漆黒(しっこく)を集めて
夢の一瞬を垣間見(かいまみ)る人々がいる
詩人達の言葉が飽和する夜を後に
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