けさ/すいせい
 
金木犀のかおりがゆっくりと剃刀をすべる
あらゆるもの
そう、あらゆるものを新しくするために
血液とは違う方法を
僕らは読み込まなければならなかった
チラシの裏側に蠕く蛞蝓
コンセントの穴から滲み出るタピオカドリンク
それを幸福であると分かち合い
ベンチの腰掛ける少女に語りかける
みちたりたような
そんな顔をして

詰まった排水孔にクルクルとまわる
いくつもの 言葉をつまみあげる
金木犀のかおりが死んだよ
けさ、死んだよ


新聞紙にはさまれた
とても温かな朝食が供されるまで
僕らはきちんと膝を揃えて待たねばならない
読み替えられた時間と
僕らいがいの、かけがえのない
あなたという語彙を



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