印象…やさしい人の/la_feminite_nue(死に巫女)
 
 ああ、どんなにはっきり知りたいのに、どうしても知りえない。どうしても確かめたいのに、どこにもそれは明かされない。くらく苦しいばしょへと、ああ。あなたは降りてゆくのね。

 そこで、天が降りるように、私たちのもとめる真の宝を抱きとめて、愛撫するため、風にまかされる身なのに、あなたは求めようとするのね。

 ああ。どんなにここはおそろしい。どんなにあなたのたくましさも、ここでは灯影のように怖じ気づく。

 ゆらめいて波のように、ながされて小舟のように。葦たちの舞踊(ダンス)のあいだに、親しく歌のようにきこえて、あなたは口をすぼめながら、口づけばかり交わしてゆく……、とりまく緑の精霊と(たしかめられない声のとりひき)。

 それは、それは、眸のおくからしぜんにでてくる光にも似て、けれどもどんなに強(つと)めあげたこと(あえぐようにしぼりだす)。

 どうしても愛したいのに、私たちには愛せないので、この身がわりに愛してくれる。どうしてもはなれられない、暗くくるしいばしょへゆきながら……。ああ、あなたはほんとうに孤独なやさしい風のひと。
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