メモ/はるな
わたしのむすめのすごいところのひとつは、ドーナツの穴を食べられるんです。
あるときわたしがおやつのドーナツをかじりながら、「いつだってこの穴が消えちゃうのがせつないよね。」と言ったら彼女は「え?そんなのたべられるよほらこーやって、ね、こうだよ?」と、その場でぱくっと穴を食べました。あんまり鮮やかなその一連に、わたしのドーナツのチョコレートがべったりとけてしまったよね。
文字をおぼえた子どもがみなそうであるように、むすめもあらゆる本を、開きはじめた。
あらゆる物語、あらゆる事実の記録が、ここでは50の音の組み合わせでできています。
言葉の喜びの扉をくぐってしまったむすめ。まだ壁のない
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