バナナマフィン・グッバイロード/杏っ子
 
食べ物を見ると、食べられない、食べられない、と泣きたい気持ちがこみ上げてくる。
だが、11時間労働で何も食べないのは命とりである。
勇気を振り絞り、どうにか食べられそうなバナナマフィンを注文してみた。
フォークで解体しながら口へと運ぶ。
バナナとチョコが痛みを融和させるように体の中に溶けていく
マジックを死んだ目で見つめている。
私の甘美な失恋よ、そして、蒸し返す希望よ遥か、
雨を降らせよ、この心に。
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