無題/la_feminite_nue(死に巫女)
 

いかで我この世のほかの思ひいでに風をいとはで花をながめむ
──西行


風を嫌う……

出会いは雨のようなもので、
無常な気持ちのうえに、
さらにはそれを遮る傘の上に、
しっとりと落ちてくる。

風を嫌う。

わたしの求めていた想い、
あなたの求めていた形、
それらが折り合わずに重なる。
時空の中心を巡って。

風を厭う、

わたしがわたしでなかったなら、
あなたがあなたでなかったなら、
わたしは傘を差さず、
あなたも雨のようなものではなく……。

折り重なる、風を厭う。恋う。

目的もなく、意思もなく、
わたしの上に降る雨を無常と、
わたしも呼んでも良いのだろうか。
あなたは呼ぶのだろうか。

風を嫌う。

世界中の花を集めて、集めても、
あなたには敵わないのだろう、
それなら、この雨のすべてが、
あなたの欠片であれば良い……

風を嫌う。

どうかこの雨を吹き流さないで。
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