さくら/
松本 涼
坂の上から
風に乗った
花びらたちが
僕を吹き抜けた
それぞれが
小さく何かを
呟きながら
次の風へと
急いでいった
ほとんど
聞き取れない
花びらたちの
呟きは
僕のクタリとした
ココロを
フカリと掬って
消えていった
多分
呟いていたのは
花びらではなく
花びらに
紛れ込んでた
何匹かの
小さな天使たち
だったのだろう
それでなきゃ
単に
僕はあっさりと
春という
魔法にかかって
しまったのかも
しれない
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