マドレーヌ寺院の妖精/丘白月
 
パリの妖精
第8話「マドレーヌ寺院の妖精」




マグダラのマリアの手に
丸くなって眠る妖精

窓もない巨大な空間
天井からランプが吊るされ
祈りの言葉がただよう

今日のミサはよく知る子
マドレーヌ広場で妖精のように
花を愛し小鳥と遊んでいた

パイプオルガンが哭くように
レクイエムを奏でる

小さな子は妖精の手を離れ
マリアの手に委ねられる

神殿の中に響く軽やかな
笑い声と芝生を走る足音
妖精は目を覚まし辺りをさがす

マドレーヌに抱かれる子を見て
出来ることなら私の命を
継ぎ足してあげてと願う

この子は大丈夫ですよ
そう聞こえた妖精は
涙を一つ流し見送る


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