ユニコーン/立見春香
 
三日前から、とある乙女の目のまえで

ユニコーンの角を
風が撫でていたのでしょうか。

その風がわたしに届いてくれたころ

吹きさらされた
こころの扉を叩く音が聴こえます。


そして、今夜


地球の無数の街の灯を
俯瞰する月がゆっくりと目を覚まします。

だから、わたしは

汚れた肌を脱ぎ捨てて、部屋を出て
月光が洗ってくれた道をあるくのです。

こっそり震える、足でです

ユニコーンの愛する乙女を
ただ傷つけるためにです。

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