愛の歩幅/本城希望
若い愛はまだまだ荒削りで
カタチが一定ではない
まだまだ真綿でくるまれた
うぶな部分を持ち合わせている
胸中は欲望の渦の中
独り暴走を始めている
だがその欲望にいやらしさはない
子供のミルク臭さの中に
時々大人の香りを漂わすキス
だが触れる口唇はマシュマロのように柔らかい
重ね合う手も柔らかい
心もまだ汚れていない
透明に近い薄いBlueをしている
まるで生まれたてのシャボン玉
この汚れた指先だと触れる前に
脆く壊れてしまいそう
僅かな風にも飛び散ってしまいそう
いかにして手に入れようか
否、手にしてはいけないのだろうか
この手で汚してしまうにはとても惜しい
綺麗な心と心で前に進んだ方がいい
きっと今は見えない差に打ちのめされる
きっと今この急勾配を無理に登る必要はない
自らの歩幅で歩いていくのがいちばんなんだ
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