海に生まれて/丘白月
 

赤ちゃんは
ありったけの
激しさで泣いて
海から生まれる

きっとありったけの
感謝の言葉を忘れないうちに
はき出している
ずっと海の底で思っていたことを

暖かな海に抱かれて
ずっと目を閉じて
海の底で暮らしていた
鼓動だけが聞こえる世界で

宇宙飛行士が
地球に帰ってきたように
水のない重力を感じてる
不安定な世界を

でも目を開けたとき
ありったけの笑顔で
回りを見る
帰ってきた喜びで

これからの一生分の笑顔を
生まれた時に見せて
親にはどんな苦労もさせる
親が一生忘れない笑顔で


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