塩田千春展にて/紀ノ川つかさ
 
まったのだ


 存在の状態

体内があまりに
かき回されているものだから
血管達は這い出てきて
整ったひし形の構造物を作り
私に見せつけてきた
私の目が丸すぎたのだ


 静けさの中で

あのピアノは生きていた
人が鍵盤を叩いて
鳴っていると思っていたものは
それはピアノの歌だった
そしてピアノは
焼けて死んでしまった
その時
焦げた血管をいっぱい吐いて
音楽室を黒い糸で埋め尽くした
私は思わず指さして笑った
私と同じだったから


 時空の反射

死んでも守るんだ
白いドレスを着た
あの日のことを
そしてその光景の中に
幻とな
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