7月/渚鳥
断片を生む指先
砂にまみれた5本の煙突が現実をか細く揺れていた頃
塵が積もり溶けて排水口から青白い水となり……
朱色の錆も一緒に流れていた
自動車の代わりに風が滑走してく7月の朝に
テトラポットの裏に
ゆうべ脱走した太陽の脱け殻が落ちてる
(ねえ逃げてしまおうよ)
季節を吸った心臓が急速にどくどくと動き
逆流した夕焼けが男の肺を充血させる
煤けたフライパンの中で揺れてる未来
キッチンは輝かしい一人の王国の灯りだ
優しい音を立てて落ち葉が画面の中に積もるので
女の目の奥が燃える
5本の煙突たちは、次は虹になりたいと話してる
(水から上がらなくちゃ)
太陽は変わらず逃げ回っている
貴方の毒は私の血にさらりと溶けて
(ねえこれでいいんだろうか)
私の空の塵、塵、塵が、青く一瞬で燃え上がり
ママレードを煮ました
行き交う人達の上品
山々には星が流れたよ
貴方のくれた本にね
いろんな事が書いてあったから
少し勇気が出ました
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