何も分からないがある/moote
蜘蛛のように
歌うように
少ない匂いを手に取りながら
分けるゆくえを
春に放つ
色を触ったら
どこを見渡しても花火はないのに
花火になった
よく見たら花火ではなかった
だがそれを花火だと信じる子供
ただ水だけを求めて
咲いたらいけない花が
咲き続ける花を羨む
道にのみ咲く花
望遠鏡で見る花
なんてことない橋を
偉大だと思い込む
偉大すぎる橋を
けなしてゆく
生まれたこと
触ったこと
ただあるのは
何もないということを
忘れたことだけ
もう何も分からなくなっただけ
ここにあるのは
石ばかり
石さえもない
もう分からない
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