月/
新染因循
どこまで漕いで行こうか
こんなにも暗い夜だ
幽かに揺れている水平を
描いているのはいつの波紋か
この舵だけが覚えていることだ
銀の月が爛々と眩い
溶けているのだな、おまえ
うつくしく輝きを流して
どこまで広がっていく
だれに掬われるのだ
その手はきっと白かろうな
あそこまで漕いで行こう
凪の重さが心地いいな
こんなにもいい夜だ
あの月を砕きに行こう
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