病/……とある蛙
 
脳の病って、人間の一部が次第に失われてゆく過程なのです。
その傍で過ごす自分も失われてゆく過程をただ見ているだけではなく
一緒に自分の一部が失われてゆきます。
君は
次第に右手がきかなくなり、
次第に右足が効かなくなり、
歩いてゆく方向が右に縒(よ)れてゆき
それを支える僕は心が縒れてゆく。

箸で食べていた君は
次第に箸ではご飯が食べられなくなり、
匙で口の飯を運ぶ。
そのうち飯を口に運ぶのは
自分ではない誰かになってゆく
一口一口おいしいかと問いかける僕に
おいしいと呟くように答える。

夜はトイレが近くなり、
2時間おきに僕を起こす。
私は眠い目をこすり
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