雨と弓/ハァモニィベル
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灰色の部屋の中で ボールペンが、白い紙を見つめたまま下を向いている
公園では 樹々が空に向かって上を見上げている
夏が もうすぐそこに落下する
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街を通過する透明な雨が、 何かを隈なく探しているようだ
国道沿いの自販機の辺りを、とくに入念に探しながら
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ほんとうは、「早く消えてしまいたい」
雨は そう思い そして、
そう叫ぶように 足音を、もっと烈しく響かせる
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どれほど探してみても、何ひとつ見つからなかった様子は、
やがて、大股で通り過ぎる雨脚の
足取りの哀しみから 余韻のように 伝わってくる
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悩み続けるボールペンよりも、公園の樹々たちの方だったかも知れない
雨のあと、
棒グラフの街の上空にも、
二重丸のような淡い虹を観たのは
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