月はいつくるのだろうか/ムウ
ここまで来てくれた 四輪駆動車
今では砂嵐に見え隠れする程に小さくなってしまった
岩陰に隠れながら罪悪感が闇夜と足並みそろえて
忍び寄っては去っていく
走り始めた頃は無かったけれど
瞼を閉じると蘇る朝まで飲み明かした悪友
安いコーヒーと手作りのクッキーを口にした愛しい人
言葉は通じぬが付き添ってくれた愛犬も眠る日が増えた
だいぶ荒れた毛並みを撫でながら
今日も瞼の裏に映る日々を眺めてる
記念にもらった腕時計も時を示すのに躊躇している
顔を見せにくる月に次はいつくるのかと
声をかけても知らん顔してまた帰り
またやってくる
日差しが身体をさして
私と愛犬に手を差し伸べる
拒んでいた気持ちも薄れいった
見えなくなった四輪駆動車に
言えなかったありがとうとお疲れ様を
私と愛犬は手を取り 迎えに来た君と砂漠を去っていく
砂嵐の中に
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