声/山人
 
使われていないテニスコートは、吐瀉物と下痢便の様な汚泥とともに、何年もの堆積した落ち葉が敷き詰められ、私たちはそれを撤去するために荒い吐息と、鉛のような腰の痛みと、まとわりつく害虫に悩まされながら肉体労働に精を出していた。しきりに耳元で、狂ったバイクのアクセルの様にいやがらせの羽音を蹴散らす害虫に悪意はなく、神の声に従い飛んでいるに過ぎなかった。作業手袋と作業着の間の皮膚に吸血する虫たちの食餌痕の血液が皮膚に散らばっている。鉄分の混じった泥と落ち葉の黒く土化したものから発せられる特有の悪臭が、私たちを人間から獣へと生まれ変わらせ、ついには土とともにのたうち回る虫にまで失墜していた。しかし、私たちは
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