頌歌/やまうちあつし
 
天使が死んで
水辺の醜い小動物に
生まれ変わったとしたら
誰も天使を愛さないだろう
天使はそんなこと考えて
がちゃんと壊れてしまう
なぜならその想像は
おそらく外れていないから
氷の海と星雲に富め
氷の海と星雲に富め
たったひとつの天国が
いくつも地獄を生み出していた
地獄の炎の原材料は
誰かのしあわせだった
ここでも天使は壊れてしまう
がちゃんと砕けた破片といったら
あまりにぎざぎざだったから
誰も片付けることができない
いつまでも放っておかれて
勿忘草が咲いている
氷の海と星雲に富め
氷の海と星雲に富め
永遠に泣き止みはしないのだ
自分が壊れる夢を見て
それを悪魔が見ていたのを知る
スマホの中に日が暮れる
町のどこにも
夕焼けを貼る壁がない
スマホは三千の夕日を飲み込んで
すっかり熱くなっている
心配はいらない
もうすぐここは圏外になる
なぜならここは圏内だから
あの日の君の夕日には
もう誰も触れない
心配はいらない
悪魔はがちゃんと壊れて消える
氷の海と星雲に富め
氷の海と星雲に富め
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