或るラーメン屋/ふじりゅう
 
おしくらまんじゅうのような場所に
ひっそり建てられたラーメン屋。
誰も 寄り付きそうもない 汚い看板に
なぜか故郷を感じさせられた。

何匹ゴキブリが這っているのか
とんと見当もつかぬ。
清掃員だった経験も録に機能しない。
ドアを閉めたら席へ案内され、
その瞬間外の夕焼けから遠ざかる。
現実から明後日の方向へ
顔を背けた人民が
まるで急いでいるかのように、
麺をすすっている。

私はなぜか味噌ラーメンではなく
とんこつラーメンを頼んだ。
はいよォ〜 なんていう掛け声とともに
店内が急に忙しくなる瞬間が嫌い
だからセッターをぬるりと取り出し
ライターで火を付け
[次のページ]
戻る   Point(1)