廃園の子どもたち/もとこ
しにたい
しにたくない
しぬしかない
花占いのように繰り返される
私を内側から溶かす呪文
唱えるたびに増えていく
細くて長くて赤いライン
決して消えない心の傷が
刻印として手首に残る
それは誰の罪なのだろう
どうして私が背負うのだろう
(分かっているでしょうに!)
雨の夜はえいえんへの扉
開けたら今度こそ戻れない
あの人に向けて放った矢が
なぜか私の胸をつらぬく
幼い頃の記憶は曖昧で鮮明
痛みだけが結晶として残る
草むらの中から見上げた空
それを覆い隠す大きな影
いきたい
いきたくない
いきてやる
花占いのよ
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