【 暗黙の了解 】/豊嶋祐匠
 
  
  
  
  僕は
  
  
  駅で列車を待ち受ける
  
  サラリーマンを見ても
  
  線路に突き落としたりはしない。
  
  
  スーパーの工具売り場で
  
  ナイフの光に誘惑されても
  
  通りすがりの脇腹を刺したりはしない。
  
  
  電車の座席で
  
  大きなお腹の妊婦が笑っていても
  
  けして蹴り上げたりはしない。
  
  
  街を走る車の
  
  クラクションに腹を立てても
  
  タイヤの空気を抜いて満足はしない。
  
  
  老人に負ける事は無いと
  
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