夢でした/印あかり
 
ええ 夢です
わたしなど夢です

あなたの目にも耳にも鼻にも残らない
夢です



いちばん隅の机の上で
ちぎり絵をふたりでしました
桃のようなほっぺを寄せあっていました

ぼろぼろの虹の下であなたと手を繋ぎ
原っぱの滴を蹴散らして駆け回りました


違いに不寛容すぎたわたしたちは
互いの茎をへし折ろうとして
自分の葉っぱを巻き込んでしまうのでした

涙でなんにも見えませんでした
気がつくと 綺麗な思い出はすべて
カラスが持ち去ってしまっていました


お互い別の人に恋をしました
ふたりとも秋の蛍のような恋でした
死骸は花の袋の中に仕舞いました
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