終末にはほど遠い平日の/
 
私を綴じる雨の影よ、色褪せないでおくれ
と白衣の数学教諭のお情けの入っていたブリキ缶が匿う
  なんという薄っぺらな人生!
  そう書き添えたら手拭いで蜂を叩き落とし
  生死は確認せずに恭しく水洗便所へ弔う
仄かに捻れた背中に貼りついたひとひらを
せめて
家族以上顔見知り未満の誰かがバカ笑いしてくれたなら
雨樋の理想がカサブランカの底に孤独死せずに済んだのに
  無理な話でしょうな
  毎朝毎晩ひとり仏壇に手を合わせていたというわりに
  西瓜は背を丸めて地味に吐血していましたから
処世術を誤嚥して噎せっかえった蝙蝠傘の
硬くまっすぐな骨は、いったい何処へ往くのか
 
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