唯一の友だち/帆場蔵人
のは
いつだったろう?
多分、産まれたときだろう
なんで泣いていたのかは
わかるはずもない
まだ言葉を知らないから
叫んだのかもしれない
ただ言葉にならないものを
叫んだのかもしれない
もう、言葉にならない詩を
叫んだのかもしれない
産み落とされた苦しみを
***
あなたへの手紙を朝に夕に、書き殴り
そうして、なんとか、行き帰る
ポストは変わらず待っていて
腹を空かせて待っていて
銀の唇には蜘蛛の巣
それをゆっくり
ひき裂いて
手紙がなかへ、なかへと
舞い落ちて、虚ろを満たしていくと
わたしは軽やかな器になっていく
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