私の国/帆場蔵人
 
だとか
つぶあんだとか
そんなつまらなさ
泡になってきえて

私は私の国を編んで
たくさんの貝たちに
息を吹きこみ
痩せて尖った
剥き出しの骨は
魚たちが
密やかに啄み
段々と丸くなり
今ではもう優しい眼をした
鯨だって描けるのです

ここは私の国、わたしが
わたしの言葉で編んだみな底
歩き続けていつか陸へと戻る
陽の光が息を吐く場所で
こしあんを食べようが
粒あんを食べようが
自由なんだ

でも私はうぐいす餡が好きなんだよ
知ってた?




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