朝を叫ぶ/新染因循
 

環状につらなった日々、
一日をくぐりぬけるだけの夜は
きっとぼくの忘れてしまった
大切なことの影法師たちだ。

明滅する日々に目眩いたぼく。
かつては天を仰いで待っていた。
変わらずおとずれる朝、
もたらされる朝を。

いつからあのトンネルの外に
この蒼い水平が拓けていたのか、
いつからぼくはここに立ち
どうやってここに来たのか。

そんなことはきっと
わからないままでいい。
わかることはたった一つだ。
ここには朝がもたらされない。

流転しない夜のなかに囚われていた
ぼくを越えて、越えられずに
流れた日々を越えて、
ぼくは朝を叫ぶ。

終わらない夜でもいい。
そのなかで伏すとしても。
この声こそが朝になるのだと
朝を叫べるのなら!
戻る   Point(2)