月の風船/立見春香
私は、
自由にどこだって飛べると思うんだ
なぜ、って?
だって、
この、私の
その、いちばんの《無垢無垢な》こころを
こんどこそ
その人に差し上げるんだから
どんな
汚れ果てる悲しみがそのさきに
待っているのだとしても、
私だって、夢だってみる
私だって、飛びたいって祈る。
飛びたいって、声に出したって
いいはずだよね、きっと
騙されるんだとしても
駄目なことだとしても
だって、それくらい
心のなかで手を合わせて
みんなに
ごめんなさい、世界、って言うから
それから世界に
ちゃんと排斥される準備はあるから
戻る 編 削 Point(5)