春のこと/はるな
 

とおーい 声がするのを、するのを見ている。蛇腹にたたんだ気持のなかで子どもが泣いている。あかるい窓べ、海べ、岸辺。
心に彼岸はないから、いつまでも分かり合えない。猫たち性懲りもなく恋する。
髪の毛すくなくて、ほそいみつあみしてたよね。
そういうあなたは白くて消えそうだった。
結局夏になれば香ばしく日焼けるんだけど、一日は気がとおくなるくらい長くって。
ばらの花が咲くのを待って遠まわりしたね、
沙羅の花じゃなかったっけ?
潰れた駄菓子屋がみるみる駐車場になっていく様子。(そんなのが街じゅうで起こっていた)。

風がつよくてね。

きょう、ばらばらに壊れても、明日がちゃんと
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