箱のこと/はるな
 

箱がたくさんある。
現実にも想像上にも、自分のものも、むすめのものも夫のものも。怠惰な感じのする春の日差しの真中にわたしのそれを置いて、みる。日差しは多くの物事を明らかにする(もし私達がそれを望めば)。わたしは頭の中の箱たちの蓋を開けて検分する、自分から箱のなかに入れたもの、はからずも仕舞われてしまったもの、仕舞ったはずがどの箱へ行ったかわからなくなったもの
。なくなってしまった物物よりも、箱の外側にあるもののほうが問題だ。(つまり問題はわたしの頭のなかにあるということになる)、箱は、たくさんある。

そしてわたしの外側には(つまり世界にはということだけど)、また春が来た。きちんとした
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