凪、燃ゆ/ルラ
 
凪に 燃え立つ
怒り 火柱
無意識の 海から
意識の空を 穿つ

沈下した 青春から
享楽の 樹液が
蒸発し 靄のなか
火柱は 脊椎の様

いつから 疲れたのだろう
心臓より 鼓動する死が
感じられる 掌には
病める鏡が 罅割れている

石化した 神経が
鋒から 放流する
思考の 暗い精子に
受胎する 詩の子宮

胎盤に棲む 星座たちよ
狂れた意匠は 不倶戴天を
あの虚ろな 憎しみより
静かな火は 無い

さてこれは 誰の城だ
腐った牙で 築かれた
燃え落ち 灰になるがよい
おれはそれを 墓にしよう

愚者の名を刻む 死に神に
寄り添う 姉妹の様に
冷たい 彼の肩に
己の火を 分け与える
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