日曜日/中原 那由多
 
おはようの欠落
とんぼ返りはほとぼり冷めて
新たな縄を巻き付ける
寝たきり老人さながらに
青を見上げて潔く
骨が軋んだ音の向こう側には
太陽を嫌う吸血鬼はもういない
新聞の三面記事と遅めの朝食の隙間から
大動脈であるかのように
営み、その濁流が押し寄せる
君は国道二号線
春の少年さながらに
青を見渡し懐かしく
釣り人達はひゅんひゅん鳴って
日曜日になってゆく
光の網を敷き詰めて
水面をガラスに閉じ込める
波打ち際に瞼は冷えて
期待を寄せては無常を返す
砂糖大さじ一杯分の思い出は
煙草三本分の副流煙に燻されて
白い鯨に姿を変えていき
生えるともない角が、牙
[次のページ]
戻る   Point(2)