燃/世界世紀
 
空気穴を
塞ぐ粘土質の
呼吸が捲れる
酸素を燃やすマグマ
ジクジク腐る肉呼吸器
干上がった産みの恒星
産道が爛れた黄泉の階段
燃え続ける内核が浮上する
サテライトダークネス
意味はない忌みはないイミハナイ
産み出す海峡で深海魚が光り続ける
イマが全てなら虚しいだけ
長く延びた地球号の尻尾はとどかない
ユグドラシルの根の耐性は
永久凍土を突き破り
ツンドラから亜熱帯を串刺しにして
23.4度傾きを是正しようと
揺すぶりながら空気穴を塞いで
窒息する恒星へ落下する
燃え尽きながら黒点になり
マグマが液状化した揮発性のコロナの中で
誘発する核分裂がようやく
その息苦しさを解放するのだ
呼吸器と空気穴が意味を為さなくなって
燃え続ける独楽になった惑星に
23.4度の傾きは無い
完全で完璧な美しい回転の元に
ひとつも水が残らない枯れた岩石だけになり
やがて音もなく眩む光にのみ込まれていく
深海魚が住んでいた静寂の
揺れる密度は拡散し続ける
それでも無にはならない
それでもゼロにはならない
空気穴は無くしてはいけない




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