消しゴム/為平 澪
私の部屋から消しゴムが消えた
自分で買い続けた漫画や画集本より
知らない人から送られてくる詩集本が増えた頃に
机の周りは書き散らかした紙で黒文字だらけ
背表紙の文句に踊らされた本棚
その息苦しい主義主張を一気に裏返して
全部白紙に戻してみたい
派手に色を付けようと輪郭をとろうとして
失敗し続ける線を消していきたかった
例えば 良い事だらけを書こうとして
三日も持たなかった日記
今は友達ではない女だらけの写真
燃やせば消えてくれる手紙の束や
指に入らなくなったカレッジリング
誰とも交流のないOB誌
カラフルに縁どられたもの中身は
だいたい黒いモノばかりでで
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