かなしみにも陽があたる/タオル
渡り鳥の群れの 一羽になっている気がして、
すこし高揚するほどの
見ればまわりの人々もたしかにそうで
翼のように足を伸ばし、ながく続く白い縞を踏みしめていた
渡りきるとき、不意に感じた
この街は巨大で、いまここにもそしてきっとわたしのまえにも
不具の心を抱いて歩いている者がいたこと
あたりまえのこと
それが街ということ
皆の横顔の表面しか見えない
でもそれが時代というもの どこの時代にもいたあたしのような――
……「かなしみにも陽があたる」
だれのものでもない アナウンス
心のなかの太陽はいつもしんとひかりをひろげて
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