かなしみにも陽があたる/タオル
街1
好きでもないまち、でもきらいとまでいかないまちに
好きなきみがいるのはたしかなことだった
きみは本が好きで
きみに好かれている本をわたしはちかいうちに読もうと思っている
風とか、ごくごく ありふれていて いいね
頁がいっせいにざわめくように
バイバイ
バス停できみがふりかえる
目をほそめ、光をもとめている道に
はぐれたような立ち方をして
どんな本もいらない気がして
字を読まないできみだけの
いっしょう言葉を聴いていたい
街2
一人で大きな十字路を渡っていた
あまりに大きく、中心に向かうほどじぶんが渡り
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