言雪<ことゆき>/田中修子
 
雪のふりつもる音を
私の耳はとらえているのだろうか

青い夕暮れに白い雪ぱらぱらふるふるもっとふれふれ
夜 雪は少しの光を乱反射してほのかに明るく
しずかに しずかになっていくけれど

ことばが雪のようであったら
つめたさはあっても
かがやき
くるみ
おとずれる静けさがあったら

ことばは どちらかといえば
雪よりは葉っぱに性質が近いんだろうか
やはり

みどりごの発するみずみずしい音
おとなになり たくみにあやつれるようになり
笹の葉を気まぐれに引き裂こうとするとき
ゆびさきを切りさいて ハッ とするのである

葉<ことば>は
木<わたし>に呼吸をさせてくれる
元来そのためにあったものが

ひとをきずつけている たしかに

ハッハッハ と 笑おうとする
ことすらなんだか障る
ちょっとばかり
雪の道におでかけ
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