口紅に、雪/秋葉竹
 


まだ生きる
蜜柑の香りのする居間で
ふたりに夜なし、死の絆なし


新月に
聴こえる星降る歌の声
赤い少女の唇にも似せ


羽根のない
詩人の傷は恋となり
ふたりの綺麗な視線がからまる
 
 
(恋双翼)


恋あざみ
花も葉も散り、舞い落ちて
その劇中でヒロインになる


白雪が
音なき塔に降る日には
閉じた胸にもそっと降り積む


嫌われて
ほお引っ叩かれても気にしない
それでも引けない理由があるんだ


君の影、
強く踏み締め思ったの、
ここにこのまま縫い止めたいんだ


華の雪
口紅に咲くその一瞬、
小さく笑ってペロリと舐めたよ





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