「骨の魚」/
桐ヶ谷忍
今日は雨なので
我が子の手をひいて公園に向かう
すでにたくさんの親子が来ている
雨の日は特別に骨の魚が元気だから
間近で鑑賞させてやるのだ
たったひとりでいいから
誰かの血肉になるような
うつくしい生き方をすれば
おまえもあのようにいずれは、と
親たちはこどもに訓戒を垂れる
こどもたちは口をあけたまま空を仰いで
うんうん、と何度も頷く
その白い骨を真白く光らせて
魚は手の届かない空で
優美に身をひるがえした
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