田中修子さんの作品、置手紙への返詩として/足立らどみ
 
置手紙を開いたら
一編の詩

あら、懐かしいや詩とメルヘン
欧州の古城の裏庭で
子らは真面目に呪文を誦えている

起きて起きて、ピンクの血に染まる妖精よ
遠い東の国からやってきた永い眠りにつく妖精よ
古さびれた城に生命を
落ちぶれた人には笑顔
運んできてくださいね

もう一度、
手紙を開いたら

文字はなく
押し花ひとつ
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